「秋涼なれど人生(みち)未だ修了せず」

茹だるような熱夏が列島を通り過ぎ、ここ札幌にも、ようやく秋の気配が近づいて来ました。そんな中で9月14日から、初秋を告げる風物詩ともなった大通公園のオータムフェストが開催となりました。
札幌はもとより、北海道各地の美味処の料理、食材が所狭しと軒を連ね、敬老の日と接続したこの三連休は、来場される大勢の方々で大盛況となっていました。
敬老の日といえば、最近「G.G(グランド.ジェネレーション)day」という呼称を見聞きするようになりました。この「グランドジェネレーション」という呼び名を考えたのは映画「おくりびと」脚本家の小山薫堂(くんどう)さんで、「自分が年を取って行く時も不安に思うことなく年がとれる」「最上というイメージ」をその言葉に込めたのだそうです。
第一生命経済研究所が調べた所、シニア世代の消費金額は右肩上がりで、昨年度においては、消費者全体に占める高齢者(60歳以上)の割合は44%となり、金額的には100兆円以上にものぼるとの事です。
オータムフェストの会場でも、多勢の若い方に交じって高い年齢層の方をあちらこちらでお見かけし、何より忙しく切り盛りされている出店者の側で御仕事をされておられるG.G世代が、少なからずいらっしゃる事におどろかされました。
街の風景に季節の移ろいを感じながら、そこに重なるような「人生の巡り」にあって、年齢を重ねる事にプライドを持てるような生き方が出来たら本当に素敵だと、そう思わせられた秋のひと時でした。

<札幌散歩 ~初秋~>

大通公園 ブラック・スライド・マントラ(札幌市中央区大通西8・9丁目)

ブラック・スライド・マントラ

上掲された稿に記させて頂いたオータムフェストの会場ともなっている、札幌大通公園。
テレビ塔(西1丁目)を起点として札幌資料館手前(西12丁目)まで、市の中心部を南北に分けて横たわる、大変長い緑地帯ですが、その中に世界的彫刻家イサム・ノグチの手になる「ブラック・スライド・マントラ」があります。大通公園を案内された折に、「いい公園だけど信号で車に止められるのが惜しいね」と語り、公園内の砂場に隣接した小山で、歓声を上げて滑る子ども達に強い関心を持ったノグチ。「この彫刻は子ども達のお尻で磨かれて完成する」と話したという逸話が伝えるように、滑り台として子ども達が遊べる設計がなされており、当初8丁目の芝生上に置かれていたものが、「東西南北どの通りからも見えるように」というノグチの遺志を尊重し、8・9丁目の間を遮断して、旧来の道路上に設置される事となりました。丁目毎に寸断される大通公園がこの場所だけ、南北に走る車道を止めて生まれた広い空間で、駆け回るたくさんの子ども達を見守るように、雪に映えるよう黒花崗岩で制作されたこの作品が、穏やかに佇んでいます。

田畑 貴子