豊穣なり、稔りの秋

前回、甲子園を材として記させて頂いてから2ヶ月半、北の大地は短い秋を経て、つい先日、初雪の便りが届けられました。
ここ札幌でも、舞い落ちてくる雪の華達に冬の訪れを身に感じさせられながら、急速に冷え込んだ気温に追い立てられるように、部屋の暖房に火を入れ、厚いコートを引き出して着込む、この数日間となっています。

今回は、そのような季節の移り変わりのページを少し戻して、秋の北海道の風物詩となっている、ホクレン(ホクレン農業協同組合連合会)が主催して行われる「ホクレン大収穫祭」についてお伝えをしたいと思います。

ホクレン大収穫祭

「ホクレン大収穫祭」は、「秋の収穫の喜びを分かち合うこと」をテーマに1972年(昭和47年)に初開催された、北海道各地の特産物や道産食材を用いた加工品を一同に集める、北の「食」の一大イベントです。

その前に、道農政部のまとめた、今年度分の北海道の農作物に関する生育状況について、公表されている資料を見てみますと、平年を大きく上回る気温に少ない降水量となった7月半ばまで、作物の種類によって生育の遅れのあるものがいくつか挙げれていますが、10月に発表された今年度最終分の報告では、報告で取り上げられている作物全般において「平年並み」、つまり順調な生育であって、安定した収穫となった今年である事が伝えられています。

こうした農作物の状況を受け、42回目となる今年度も、馬鈴薯やたまねぎ・かぼちゃやりんごといった道産の野菜や果物、産地から送られた新豆・たまご・精肉など定番の農畜産物や、ホクレンブランドのハム・ソーセージ等の加工品が、併せて約800種程も札幌三越の催事スペースに所狭しと並べられ、特別価格で販売されるという事で、初日から大勢の人が詰めかけ、活況を呈している様子が報道されていました。

 

私が伺った7日間会期の最終日も、遅い時間であったにも関わらず、たくさんの買い物をされるお客様が訪れていて、ウインナーのすくい取りやたまごのつかみ取りなどもあって、本当に収穫の「お祭り」という言葉がぴったりと来る会場内の雰囲気でした。

大収穫祭会場の様子
訪れている方々を見ていて、ひとつ、心に留まった事があります。
それは、来場されているのが御夫婦、しかもかなり御年配とお見受けする二人連れの方が、とても多くいらしていたという事です。

先に記したように、この催しが始められたのは1972年。それは、札幌で冬季五輪が行われた年です。
北の街での国際的なイベントの開催を控え、各所が大規模に整備されて都市化が進み、道民の心が沸き立つように弾んでいたであろうその時と期を一にして、北海道の自然の恵みの豊かさを存分に味わえる催しが立ち上げられた事は、多くの人々の記憶と生活に刻まれ、当時10代から20代で、社会人となり家庭を持たれ、御夫婦でこの「収穫祭」に足を運ばれた方々が、それが半世紀を経ようとする現在に至ってなお、楽しみと期待を持って会場にいらっしゃっているのではないか、そんな想いを抱かされました。

 

ビル群の立ち並ぶ、北海道で最も繁華な場所で行われる「収穫の祭典」であるという事に、幾ばくかの複雑な思いを持ちながらも、「芸術」「読書」「体育」と秋には種々の冠が言われますが、この豊穣なる北の大地ではやはり、豊穣なる「稔りの秋」の語が最も相応しいと感じさせられた、秋の一日でした。

田畑 貴子