流行語大賞

2015年度流行語大賞候補ノミネート50が発表された。「現代用語の基礎知識」(自由国民社)が選ぶ「ユーキャン新語・流行語大賞。大賞は12月1日頃発表される。候補50とネットでの人気が高い言葉をまな板に乗せてみた。
まず今年は不作だという。また、有力候補の「火花」「五郎丸」「SEALDs(シールズ)」。いずれも固有名詞で、流行語らしくない。実際、流行語が、「固有名詞化」する傾向はこの数年顕著だという。雑誌の特集タイトルでは『30代女子がハマる○○』など文脈で読ませるより『宮崎駿』『ガンダム』などネットで検索しやすい固有名詞を前面に出す方が売れるという。受け手が固有名詞を目にした時、深く考えず “ 脊髄反射 ” しているからではないかと専門家は指摘する。また、昨年の大賞「ダメよ~ダメダメ」みたいなインパクトがある言葉が今一つのようだ。背景にはお笑いやバラエティー番組から圧倒的な流行語が次々出ないのはテレビが弱っているからだとの指摘もある。

本命は「火花」?「SEALDs」「五郎丸ポーズ」が続く・・・

それでもあえて「流行語大賞」で先行しているのは「火花」「SEALDs」「五郎丸ポーズ」のようだ。上期は火花が独走していたが、この夏「SEALDs」そして秋は「ラグビーワールドカップ」が肩を並べてきたようだ。ネットでも上期の予想では当然入っていなかった。
「火花」は本離れの時代に純文学が200万部以上売れることを教えてくれた。動画投稿サイドでは素人とプロの差が縮まっている。文学界でもプロの作家と恐ろしく本を読んでいる読者オタクが実は近い存在だったと証明してくれた。「五郎丸ポーズ」はラグビーのワールドカップ(W杯)日本代表で『ルーチン』が話題なった、五郎丸歩選手のポーズ。
そして、「SEADLs」は過去の話だった学生運動がメジャーになり、流行語をとる勢いってこと自体が面白い。今時の若者も政治に熱くなるんだと。そして学生運動を体験した団塊世代のノスタルジーを喚起した。

その他で話題に上ったのは、社会現象では「ドローン(小型無人機)」、中国観光客の「爆買い」、「東京五輪!エンブレムの  “パクリ ” 問題」。ネットでは「佐野る」と人気は高い。
もっとも選んでも授賞式に出てこないだろうから無理という声が出ていたが、やはり「佐野る」ははずれて「エンブレム」がノミネートされた。
ワイドショーの話題では「新国立競技場の白紙撤回」、安保関連では「戦争法案」がインパクトがあった。法案に呼び名が与えられた結果、世論を喚起し、議論が活発化した。これこそが流行語の王道かもしれない。「マイナンバー」「杭打ち不正マンション」そして時代錯誤も甚だしいけれど安倍首相が打ち出した「一億総活躍」も入れておきたいと、政権にすり寄る最近のメディの意向も見え隠れする。
12月1日、どんな流行語が対象を射止めるのか?

戦後70年の節目にふさわしい流行語大賞は ―― 私版

さて、ここからは私が選ぶ2015年度流行語大賞。戦後70年の節目となった2015年。未来志向では「エディー・ジャパン」を強く推す。日本代表は『日本人』や『外国人』の概念を揺るがした。外国人に見えて日本国籍、日本人だけど外国生まれ、母語が英語・・・現実のダイバーシティー(多様性)の方が理想より先に進んでいることを鮮やかに示し、しかも勝って見せた。私たちはこの意味をもっと高く評価してよいと思う。

そして「戦後70年」・・・・安倍首相が談話を出すなど話題になったけれど、議論の中身はすごく空疎だった。戦後70年の節目に『ずっと豊かで平和で良かった』と言えればよかったけれど、実際には平和の行方すら危うい。僕らの「戦後70年」は手放しで歓迎できるものじゃなかった。

安藤 敏明