vol.41

2人の代表監督に学ぶ

7月15日の決勝戦で終幕したサッカーW杯2018ロシア大会。
2人の代表監督のマネジメントから考えてみたいと思います。

 

日本代表 西野監督(7/7 青島健太:日経ビジネスオンライン記事から抜粋)

W杯まで2ヶ月というタイミングでチームを引き受けた西野監督。予選リーグ3戦全敗もあると予想されたが、決勝トーナメントに進出。世界ランク3位のベルギーをギリギリまで追い込んだ西野ジャパン。「私たちの仕事にも通じるマネジメント」「勝つための組織づくり」という観点から西野監督の行動を考えてみたい。

■ ベテランを起用して経験値を共有する
ベテランの活用とは、経験の共有だ。その経験の数々が他のメンバーへの情報になる。「おじさんジャパン」とは、短期間で戦うために必要な情報量の多い集団を形成したということだろう。しかし、せっかく得た経験もそれが生かされなければ意味がない。経験値の高い選手同士が連動することによってその経験が戦力化される。

■ 積極的なコミュニケーション
西野監督は積極的に選手との対話を図り、彼らとの距離を縮めていた。また、ハリルホジッチ監督の時には禁止されていた選手同士のミーティングも自由に奨励した。こうした監督、スタッフ、選手のオープンな関係性がチーム全体の連動につながった。誰よりもプライドの高い本田をスタメンから外し、ジョーカーのように後半から起用できたのも両者の信頼関係の賜物だろう。

■ 不満分子をつくらない
3戦目を迎えたチームにとって、密かに忍び寄っていた危険は、試合に出られない選手たちの不満が溜まることだった。彼らにもプライドがある。いくら「フォア・ザ・チーム」で戦っていてもストレスが溜まるのは選手の本能だ。どこかでこのエネルギーを使って新たな戦いを挑む必要があった。結果的に先発6人を入れ換えての起用は無謀なギャンブルと批判する声も多かったが、チームマネジメントの観点からは絶妙かつ必要な戦い方だと思った。

ユーモアを忘れない
西野監督が選手だけでなく周囲の人たちをも引き付ける魅力は、彼がユーモアのセンスにあふれているからだろう。フィジカルに勝るセネガルとの一戦の前には、記者会見でこんなジョークを飛ばしている。

「乾と大島に5kgの増量と身長を5cm伸ばすように命じたのですが、調整に失敗しました」

大事な場面に臨んでも、とぼけた雰囲気がチームを明るくし、選手を緊張から解放していた。リーダーの振る舞いは、良い意味でも悪い意味でも選手に伝染する。